過去に治療した歯が「後戻り」してしまった歯の再矯正【前編】 銀座
2022年07月29日
歯列矯正治療において、失敗と考えられることが多いのが、矯正治療後の「後戻り」と言っても過言ではありません。
後戻りとは、矯正治療により理想的な位置に動かした歯が、元あった場所に戻ってしまうことです。
後戻りをしてしまうと、もう一度理想の歯列にするためには再矯正が必要です。
せっかく費用や期間をかけて矯正したのに、更に費用や期間がかかる再矯正。
今回はその後戻りしてしまった場合の再矯正について、原因や治療方法について紹介していきます。
矯正した歯が後戻りする原因は?
矯正した歯が後戻りしてしまう原因には、どのような原因があるでしょうか。
【原因1.保定が不十分】
後戻りの原因の中で最も多いのが、動的治療後にリテーナー(保定装置)をつけていなかった、つけていても使用時間や方法を守れていなかったという原因です。
矯正治療完了後すぐは、歯がとても動きやすい時期。
歯を動かすときには、歯と歯茎の隙間の血管膜(歯根膜)を拡げながら少しずつ矯正装置で力をかけて動かすのですが、その血管膜は矯正直後は開いたままの状態です。
つまり、歯と歯を支える土台に隙間があると、歯は安定せず、ぐらぐらと動きます。
その血管膜が埋まり、歯が安定するまでには、6ヶ月から1年は最低かかると言われており、その間矯正した位置に歯を固定しておく装置がリテーナー(保定装置)です。
しかし、リテーナーを付けるのを怠ったり、保定期間よりも短い期間しかつけなかったなど、リテーナーの使用に不十分さがあると、後戻りをしてしまう原因となります。
また、リテーナーに何らかの不備がある場合も、後戻りしてしまうことがあります。
【原因2.悪癖】
歯を舌で前に押してしまうなどの舌癖や、食いしばり、顎の動き、口呼吸の癖の癖なども、後戻りの原因の1つです。
歯並びに影響してしまう悪癖は矯正前からある方も多いですが、矯正後もその癖が改善されていなければ、また歯並び悪化の原因になります。
舌癖や口呼吸などはMFT(口腔筋機能療法)といったトレーニングで改善することができます。
矯正中にこのトレーニングを行うことで、後戻りの予防につながります。
【原因3.治療が不十分】
歯列矯正治療ではまず歯を傾くように倒れさせ、その後歯根が動いて歯が直立になるのを待ってから、また少しずつ動かしていきます。
しかし、歯根の動きが不十分のまま治療を終えてしまうと、後戻りの原因となります。
治療終了前には、治療を終えてもいいのかをしっかり確認する必要があるのです。
【原因4.計画にミスがあった】
そもそも治療計画にミスがあった場合も、後戻りがしやすいです。
・外科手術が必要だったものの矯正治療だけで対処しようとした
・非抜歯での矯正治療に無理があった
・不適切な歯を抜歯してしまった
など。
それぞれの歯並び、顎の状態等、いろんな方面から治療計画を立てるべきところを、治療に無理が生じた場合も、後戻りしてしまう可能性が上がります。
【原因5.治療後の成長】
成長における変化を見越して治療計画を立てなかった場合も、後戻りの原因となることもあります。
特に小中高生など成長期の子どもの治療の場合は、身長の伸びとともに顎も成長します。
そのため、成長期の治療の場合は慎重に治療計画を立てる必要があります。
また、親知らずが後戻りの原因になることもあります。
親知らずの生え方によって、隣の奥歯を圧迫するようなことがあれば、後戻りの原因になりえるからです。
矯正後の歯並びを維持するためには、親知らずの生え方にも注目し、必要であれば抜歯するなどの対策が必要です。
今回はここまでにします。
次回は後編にて、後戻りしてしまった場合、どのような方法で再矯正をするのか、またかかる費用や期間について紹介します。