抜歯を回避する矯正法(非抜歯矯正)とリスク【前編】 銀座
2022年08月15日
歯がデコボコしている叢生や出っ歯になる原因の中でも多いのが、歯の並ぶスペース不足によるものです。
そのため矯正する際にはスペース確保のために、抜歯をすることがあります。
しかし、抜歯をするということは、健康な自分の歯が抜いた本数分、減るということ。
また、抜歯した後、腫れたり痛みを感じたりするというデメリットもあります。
そんなデメリットを避けるために、抜歯を回避する非抜歯矯正が注目を集めています。
この非抜歯矯正とはどのような矯正方法なのか、またメリットやリスクについても紹介します。
非抜歯矯正とは
非抜歯矯正とは、抜歯をせずに行う矯正方法です。
反対に抜歯をする矯正方法のことを、抜歯矯正と言います。
矯正治療では、抜歯が必要なケースと、抜歯しなくても矯正可能なケース(非抜歯矯正が適応されるケース)があります。
《抜歯が必要なケース》
明らかなスペース不足が不正咬合の原因となるケースでは、抜歯をしてスペースの確保を行います。
顎の大きさに対して歯が大きいケースや、口元が出ていて口が閉じにくいケースなどです。
抜歯をする際には、噛み合わせに影響の少ない歯を抜歯します。
一般的に、犬歯の隣の第一小臼歯か第二小臼歯であることが多いです。
前歯のスペース不足を補う場合、矯正をする上で歯の移動距離が短く済むため、メリットも大きいからです。
《非抜歯矯正が適応されるケース》
非抜歯矯正が適応されるケースは、歯並びが大きく乱れていない、比較的デコボコの程度が小さいなど、軽度の不正咬合のケースです。
また、スペース不足とは反対に、すきっ歯などで歯並びスペースに余裕がある場合は、そのスペースを利用しながら非抜歯矯正を行うことが多いです。
その他、非抜歯で歯の並ぶスペースを確保できそうである場合も、非抜歯矯正が可能です。
非抜歯で歯が並ぶスペースを確保する方法
歯の並ぶスペースが不足している場合には、抜歯矯正を行うと前述しましたが、最近は技術の進化により、スペース不足も非抜歯で対応できるケースもあります。
非抜歯でもスペースを確保する方法は、主に以下の方法があります。
《側方拡大》
側方拡大とは、歯列の横幅を広げ、歯列の並ぶスペースを作る方法です。
歯が内側に倒れている方や、顎の成長途中である小児矯正の際によく使われる方法です。
自分で取り外しのできる拡大床、固定タイプの休息拡大装置などの装置を使って、スペースを広げます。
《奥歯後方移動》
奥歯を後方へ移動させ、歯並びのスペースを確保する方法もあります。
アンカースクリューという小さなネジを顎の骨に埋め込んで、これを固定減として歯を後ろに引っ張るという方法です。
アンカースクリューを使った方法はインプラント矯正と呼ばれ、後方に引っ張るだけでなく、様々な方向へ歯を引っ張ることができるため、これまで抜歯するしかなかったケースにおいて非抜歯矯正が可能になったり、難しい方向へ引っ張って歯を動かせるようになったりなど、矯正の幅を広げています。
ただし、後方へ引っ張る場合、奥歯の後方にアンカースクリューを埋め込めるような骨がない場合は、この方法は適応されません。
また、親知らずは抜歯する必要がある場合もあります。
《ストリッピング》
ストリッピングとは歯を削る方法のことを言います。
歯の横側をそれぞれ片面0.25㎜以内ずつ削り、歯と歯の間に隙間を作っていく方法です。
1本につき、0.5㎜程度しか隙間はできませんが、0.5㎜×歯の本数なので、十分なスペースが確保できることもあります。
やすりやバーなどを使い、歯を削っていきます。
今日はここまでにします。
次回は非抜歯矯正にはどのようなメリットがあるのかとともに、非抜歯で矯正を進めることによるリスクについて紹介していきます。